つばさ ゴミクズたちの中で埋もれていたんだ 長い長い時間が流れた気がする 僕は獣にも劣る操られし人形 自らの意思などなく 他者の思うがまま 操られるだけの存在 体は木でできていた 眼は石で何も映さず 流れているのは糸だけ そう望まれて生まれてきた そう望まれて生きてきた だけど、僕は操られたくなかった だけど、僕の意思は糸一本揺らすことはなかった 幾日幾月幾年、繰り糸は人形を動かし続け そして、壊れた僕は捨てられた このまま、もがれ砕かれ焼かれる運命に流されたくなんかなかった だから、僕は願い続けた 僕の心を種に 願いを太陽に 希望を養分に 種は育ち始めるのだ 壊れた僕を苗床(ナエドコ)にして 真っ白い芽が木の背中を突き破る 大きく開いた二枚の葉は二枚の羽に変えて 木の体と石の眼と糸が流れる僕は 今、飛んで行く… 前 戻 次