青い瞳 捨て猫だった彼女は黒い毛皮に蒼い瞳を持っていた ずぶ濡れな彼女は、だけど気高くその蒼を僕に見せていた 僕は彼女を打つ雨から守るために家に連れ帰った 彼女の滑らかな毛皮を拭いてあげると、彼女は一声鳴いた 彼女は夜が明けるまで、僕の家で眠っていった 朝、眼が覚めると彼女は姿を消していた 彼女はまた、旅に出たのだろう 彼女の自由な心は誰にも属さず、そしてまた、優しい 彼女は孤独な代わりに、可能性を掴んでいるのだ 彼女がどこまで、行くのかは誰も知らない だけど、僕は彼女の蒼を憶えていよう それで僕の心は彼女に託せるのだから 前 戻 次